数寄の玉手箱−三井家の茶箱と茶籠@三井記念美術館

 茶箱や茶籠 何に使うもの と思って三井記念美術館
この重厚でクラシカルな佇まいの美術館は、重厚なエレベーターで上へ。
過去の文化遺産を残すべく設計された美術館は名品が大事に
ガラスケースに収まって展示されています。
 
 ちいさくて愛らしくて愛おしいもの。
持ち運びが出来る茶道具の小さくもなんとも贅沢なもの。
この持ち運びできる箱や籠を 「数寄の玉手箱」「タイムカプセル」に
擬似した美術館の表現がなるほど面白い趣向である。

 茶人が自らの好みで選び仕立てた茶箱・茶籠は、
茶の湯をたしなみつくした人が行き着く究極の趣味世界ともいわれます。
自らの趣味にあった箱や籠を茶箱にあつらえ、
それに茶碗や茶器、茶巾筒、茶杓、菓子器など好みに合った道具を探し、
それらをこだわりの袋や裂で包んで収めた茶箱・茶籠は、
まさに「数寄の玉手箱」と呼ぶにふさわしい茶道具です。
そのはじまりは桃山時代頃まで遡るようです。

 
 京商人が江戸店を持ち、江戸時代に大きく発展を遂げた中、
江戸後期から近代に三井家で仕立てられた茶箱を全て出品。
作品としては江戸後期から幕末、明治、昭和へ及ぶが茶道具を大事に残し
こう展示される趣向は面白い。

 この美術館は着物割引を実施しており茶道を嗜むご婦人方は着物で
多く来館していた。「茶道」も「着物」もそれぞれ日本文化として
残していきたいもの。

 茶箱は、野点などに使用する携帯用の茶道具セット
茶人が自分好みで仕立てる茶道具セットはなんとも贅沢な話。


 応挙の「草花図襖絵」
これは野点の雰囲気を味わうために、との配慮。
金地に墨の松、竹 濃緑を感じさせる舞台装置。
応挙の描く山水図屏風(-5/20まで展示)の中央に余白を広くおき
奥行きがある空間にしたてた屏風 立体的な印象が野点にぴったり。


 そんな極上の茶会を実現したのが、三井高棟の箱根小涌谷別荘

 静嘉堂文庫の「茶碗の美」での茶碗の数々も素晴らしかったが、
茶箱に収まる大きさの茶碗 それぞれの茶道具。
今回は一緒にあるものないもの、それぞれの茶道具に合わせた袋、裂地。

 一番気に入ったのは「桐木地菊置上茶箱」(箱4)

茶箱の鑑賞と点前―裏千家茶道

茶箱の鑑賞と点前―裏千家茶道

桐箱に胡粉を置き上げた 真っ白な菊を散らした茶箱
マーガレット模様 現代でも十分相応しい愛らしさ。
こんな箱があったら と楽しい想像が広がります。
象牙茶杓!なんとも贅沢極まりない

 三井高福氏のなんと趣味が深く見事なしつらえ。
仕事でも三井家を幕末から明治の時代に上手く乗り換えていき、
見事明治政府への資金調達をなし三井家繁栄の中盤を支えた人物。
そしてこの趣味人ぶり。

「唐物竹組大茶籠」(箱12)これが タイムカプセル と呼ぶに相応しい。
宝物が小さいサイズでぎっしり詰まっています。
一休一行書まであるのが!野点に掛け軸。
この中には香道の道具も揃っていて
「鼈甲貼紅葉蒔絵香箪笥」が一番見事。
鼈甲に金色紅葉を蒔絵に仕立て、秋の美しさを見出すとは。

 幕末から明治になると 抹茶のみならず 煎茶セットも加わる。
茶碗も茶杓も愛らしいが、煎茶は必ず五客 
ままごとのように愛らしいお茶碗と茶托が揃っている。

薬師寺古材六角茶箱」(箱32)
三井高棟氏好みとか
小さな鹿がついているのが さすが ご注目あれ。

 この時代には、自ら茶碗を創作したり、茶籠を編んで裂地で内側を覆い
自分好みの茶箱(茶籠)を仕立ててしまうなんて。

「けし蒔絵茶箱」(箱36)
螺鈿で芥子の花、茎、葉を描いてみせる。箱のみだが中にあわせる
茶道具を想像するとなんとも素晴らしい。


 森万里子ティーカプセル を思い出しました。

オパールホワイトも素敵ですが、
やはり自分で一つ一つ仕立てることが出来たら 楽しいでしょうね。
 実現してほしい 野点カフェ
ガラス越しに見とれる茶道具も良いが、手や目で味わうお茶会が一番幸せです。 
 ピクニックに「野点

ちなみ「茶箱」違いですが、お奨め漫画 思い出したので紹介

茶箱広重 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)

茶箱広重 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)