UBSコレクション「アートは心のためにある」@森美術館


 「アートは心のためにある」展は、
金融機関UBSアートコレクションの所蔵作品で構成される展覧会。
1000点以上におよぶコレクションから、
「1.ポートレイトから身体へ」
自分の身体感覚から
「2.造られた世界」
社会という器との関係性につながり
「3.ランドスケープから宇宙へ」
世界という観念、自然現象、そして宇宙へと拡がるように
3つのテーマでの切り落とし方はとても流れがユニーク。
数多い所蔵品も配置や組み合わせで印象が変化するが、
今回は特にオフィス環境を配して、
ちょっと面白い視点。
森美術館開館の「HAPPINESS」も構成がとても良かったから。

 UBSがご自身のブランドPRのために 
BRUTUS」も巻き込んで展開している
多方面のブランディング戦略はなかなか見もの。 
 膨大なコレクションの中から三つのテーマに絞って
方向性を持って構成しているの

で、見やすい展覧会。現代アートは何の前知識よりも、
実際アートと対面して「すき

」「きらい」そんな直感から対峙するのが一番楽。
 女子高生のグループが自由に「これスキ」「おもしろーい」
こんな自由気ままな対面が一番相応しい場かもしれない。
 オフィス家具が本当にテーマにフイットした構成ぶりでインテリアも必見。
私は最後の宇宙が好き。
 ここを見るときは、自分だったらオフィスにどの絵があると相応しいか、
もし自分が絵を買うならどれにしようか って思いながら見ると面白い。
実際オフィスで具象的な絵というのは私は実は苦手。
シンディ=シャーマンや森村泰昌さんに見つめられたら...仕事にならん!

 独断と偏見的な私の場合・・・妄想)いろいろ想像して作品を見ながら
 営業部署だったら
 経理部署だったら
 企画部署だったら
 損害保険担当の席だったら
 交渉の場の会議室だったら
 契約のための重要な会議室だったら
 新人研修室だったら
 リラックスする場だったら
 お客様対応室だったら 

 森美術館は子供たちのためのパブリックプログラムが
しっかりしていて、ファミリーラウンジコーナーでは
子供たちのためのガイドなど
、私が見ても「こういう視点があるのか」と驚く面白さ。
またルービックキューブ
赤と黒をベースにしたお洒落なデザインなのだが、六面

きっちり分かれていないので、分かり難いですが...)
ネクタイタイ付シャツのような封筒に

入った子供たちのためのアートカードなど用意されていて、
心憎い配慮。
 最近の美術館が、未来の鑑賞者を大事にしてくれるのは嬉しい。
本当に子供の視点

は素直で面白いから。

ツァオ・フェイの「Whose Utopia」は
dancer in the dark」(2000)を彷彿。bjorkが工場で踊るシーン思い出す。


「アートは心のためにある」と主張はするけれど、
作品買い上げにはお金は動くものだし、UBSの世界的な活躍ぶりを見ると、
「アートはお金のためにある」状況はやはり正しい見方。
アートが彼らのモチベーションを上げているとしたら、
心=金 良い意味でも悪い意味でもイコールなのでは?]