ルノアール+ルノアール展@bunkamura

 最近の展覧会はビジュアルに記号化して印象つけるのでしょうか。
ルノアール」の五文字のカタカナを十字型に組んでロゴを作っており、ミュージアムショップでもこのカタチを売りにしていたので(なぜカタカナ...と思い悩んだのだが、「RENOIR」だと六文字で重ならないので、苦肉の策だったのでしょうか)

 今回はオルセー美術館で好評だった企画展を日本にも紹介されており、この企画にあわせて、日仏文化センター、東京近代フィルムセンター、Bunkamuraルシネマで協同で上映企画があり、とてもコラボレーションが良い展覧会となっている。
しかも会期がとても長く、集客力のある宣伝を、日本テレビでも、メトロでも読売新聞でも展開して、広告戦略に非常に長けた展覧会と思う。
 確かに世界的に有名な巨匠ジャン=ルノアールとその父を同時に、それぞれの似通う部分を引き出してまとめると 絵画と映像をそれぞれ鑑賞するのに相乗効果が見られる。
 有名な父を持ちながら、その父との影響を受けつつ新たな境地を開くことは容易いことではないだろうに。本当にすごい親子であろう。
 親子作品展という企画を他に分野でも拡げたら面白いと思う。

 それぞれの共通点探しという試みも面白い。
映像の中に父の作品の影響を受けていると思われる一番の場面を寄せているから。

 会場もイメージカラーの水色と暖かなオレンジ色を効果的に配置した会場となっており、テーマ別に分けて大変分かりやすい構成となっている。
 大変爽やかなフレンチカラー。

 印象としては、ルノアールの暖かな暖色、朱とも赤とも見える色と、その補色の緑がとても温かみのある色彩でまとめられていて、その他にもこの会場だと「第4章 娯楽と社会生活」での黒と白のモノトーンの配色が美しい。

 晩年のルノアールの姿が映像で見られて、絵筆を口でくわえて加減を加えている姿が微笑ましい。
1-12 「白い帽子の自画像」
1-15 「果物文小皿」
 父も生計を立てるために陶器絵付けをしていたエピソード、
それをジャンが取り組み三男が陶芸家になっていく家族の系譜は面白いもの。
1-10 アルベール=アンドレ「家族を描くルノアール
 ルノアールの背中が本当に温かい。描き手アンドレが注ぐ視点も温かい。
こういった空気が満ちているのは素晴らしいこと。

幸福な家族愛を感じる展覧会にとても心が温まる一日でした。