北斎漫画@江戸東京博物館

「見当をつける」「見当外れ」という言葉は版木のココからでてきた言葉とか。
江戸時代の版木が磨耗・損傷が激しく、摺師の技を駆使して再現を試みた展覧会。
和紙も特別に薄手の須崎半紙(高知県津野町)を漉いて使用したとか。
文化11年(1814)から1878年まで15版も刷りを重ねた超ベストセラーなのも納得の北斎漫画です。現在はコピーなどお手軽ですが、この時代全く同じものを作る困難さを思うと、15編ずっと北斎の気骨が伝わってきたのも納得です。
河童の皮膚、観音様の衣装、着物の図柄、髭面親父など、本当に徹底して細かくて、
私など模写だけで凹みそうな精緻な画です。

 摺り体験をしてきましたが、版木に絵の具を染み込ませるのも、木に十分適切な量になるまでの見計らいや、糊を上手に拡げたり、和紙を見当をつけて置くのも、何枚もの版をきちんと合わせて摺りだすのも、やはり「摺り7年」と言われる大変さが感じました。細かいところは軽く、すっと一本の線のところは強く摺らないとバランスのよい摺りにならないそうです。私は力のかけ具合に困惑し、あのすっと描かれた富士山の山際が上手く摺れませんでした。とほほ

 芸艸堂が現在「北斎漫画」の版木を所有されているとか。当時の版木を保管し、また現在に摺りを再現するとは本当の大事業だったと思います。良い腕の摺師があってこそですね。
 また現在の彫師による再現もありました。鋭利な彫刻刀ですっと切り込んでいく姿を見ているだけでも緊張の連続でした。

 芸艸堂の「北斎漫画」全15冊 手摺木版で完全復刻!

江戸東京博物館でしっかり商売上手でもある。
しかも贅沢かもしれません。
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19世紀ヨーロッパの画家たちに絶大な影響を与えた『北斎漫画』はそのご沸き起こるジャポニスムの熱狂のきっかけとなった。モチーフは各種職業網羅した風俗、剣術、相撲、百面相から幽霊妖怪、故事、歴史人物、建築、風景、草花、動物、魚介等々。
創業115年の版元:芸艸堂の蔵に遺された『北斎漫画』全434丁の版木を、江戸浮世絵の技術を受け継ぐベテラン摺師が丁寧に再摺り。使われた和紙は80,000枚。薄くて強靭な土佐和紙(須崎半紙)を使用。一点一点和綴じ製本で丁寧に仕上げる。