和モード ―日本女性、華やぎの装い―@サントリー美術館

 「和Wa-mode」はサントリー美術館が今回作った言葉
 いつの時代も女性は自分を美しく装うために努力を重ね、
いつの時代も美しい姿を引き立て装う道具を作り上げてきた過程が見られる。
お正月はミッドタウン全体が 和モダニズムで統一されて
華やかで気品がある装いで迎えてくれました。
 エントランスには松を、上部には扇子を重ねて
ちょうど午後2時頃は日の光が入って、まるでステンドガラスのように
シンボルデザインの緑と橙が光を通して眩いばかりでした。

 今日は婦人画報アシェット社主催による
「木村孝が語る日本の和 みせる和モード」木村孝先生は現在87歳とか。
美しい帷子模様を薄緑色の染めた着物に再現したお着物でした。
 日本の着物は定型という制約があることが逆に
色彩と文様を発展させる結果となり、精緻で素晴らしい伝統文化が
受け継がれる事になったとのお話です。

 女性は昔から綺麗になるために一生懸命だったのですね。
 奈良飛鳥時代は結髪が主流だったのが、平安時代の宮中では
手間隙かかる長い髪が女の嗜みに。しかも邪魔だからと耳に髪をかけては
殿方も興ざめするという、長い黒髪と過ごすのも大変だったようですね。
しかし一般民衆は当然ながら仕事になりませんので、結い上げていました。
江戸時代になると結い髪が主流になり、ありとあらゆる髪型が流行しました。
そして明治になると「束髪」がお洒落と大宣伝をして、教化していきます。
だんだん婦人雑誌も登場して、広く一般大衆におしゃれ情報が届く
時代になっていくのでした。

 その名も「化粧眉作口伝」!巻物と巻子本とありますが、
まさに今のメイクーマニュアルそのまま。丁寧に図で眉の描き方指南、
昔の女の子は巻物を広げながら描いていたのかと思うと可笑しいですね。

 化粧は昔は神聖なもので、「化粧箱」は神様に献上するものだったそう。
サントリー美術館国宝の「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」もそのひとつです。
 昔の櫛や笄、簪贅沢な素材は、象牙琥珀ですが、
なんと鶴の骨、牛の爪や角を使ったものもあるそうです
。美のためならフェイクでも....変わりません 何時の世も。

 江戸時代は結婚してお歯黒と眉剃りの習慣がありましたが、
どうみても老けて見えて一層綺麗になるとは絶対思えません。
 そのため浮世絵の絵師達も既婚者であっても眉を描く等、
理想の女性に仕立てたそうです。外国人にも剃り眉は不評だったようで
明治の文明開化と共にすっかり廃れたようです。

  ささやかな所まで配慮が行き届いた展覧会です。
従来の「出品図録」とは違って読み易い編集になっていました。
 爽やかな良品揃いというところでしょうか。
 ギャラリートークでは瀬山さんがお話下さるはずだったのですが、
いきなりダウンされてしましました。(今は大丈夫でしょうか...)

 一点一点丁寧に解説がされていて、細やかな配慮に溢れた展覧会でした。
展示目録でも員数(モノの数え方)が丁寧に記されて、勉強になりました。

打掛、小袖、具足「領」
香合、香炉、香箱「合」
盆、煙草「基」
櫛、笄、簪、元結「件」
花鉢、ゴブレット、徳利、コーヒーポット「口」
屏風「*曲*隻」「*曲*双」」...左隻+右隻=「双」
小面「面」

 企画された瀬山さんはあの「鼠草子」を現代訳絵本にして、
絵巻を親しみある味わいにしてくださったサントリー美術館学芸員の方です。
今後もより親しみやすい日本の文化を提案して頂きたいものです。