山口晃トークライブ 年忘れ!山愚痴屋感謝祭!!

新宿サザンシアター


春に上野の森美術館での「アートで候。会田誠 山口晃展」
夏に練馬区立美術館での「今度は武者絵だ! 山口晃展」
時勢に乗り大活躍の山口晃氏のトークについて紹介を受けて参加してきた。

東京大学出版会での図録と絵葉書 そして「UP」の「すずしろ日記」

 彼の語りは軽妙で絶えず観客に配慮するように駄洒落や洒脱な絵を取り入れる。

◎第一部
 ステージの用意された障子紙に墨と筆で一気に描く一文字
〔偽〕
それから判じ絵が始まった。
筆をさっさと動かすだけで、人物像が出来上がり
表情も手先も鮮やかに 筆の擦れも勢いよく描かれていた。
(1)「外国人が親指で自分を指してホッピングを持っている図」
(2)「白いお城を背景にお侍が左小指を立てて右に刀を持つ図」
(3)「赤という字を吹き飛ばそうとする僧の図」
(4)「縛り上げた僧の上には錘の綱 今まさに切らんとする図」
(5)「眠りこけている栗とムッと怒っている図」
その人物の描き方が恐ろしく上手い。職人技。

駄洒落が良いのは、受けた人の人間性が出てくる
「危機回避能力がわかるから」

....水墨画の大家の大先生に以前書道を習っていた時期があるが、
水墨画で思うような線を描くためには思い通りに筆を使いこなさないと
いけないと、書の基本中基本 運筆から学びました。
(山愚痴氏は字も上手いのも そのせいか。)

◎第二部
 自作を語る編では、最初に 1999おばか合戦の話をするはずが、山愚痴画論へ...
 やはり大学時代からの葛藤、油絵を道具として、やまと絵的な手法を取り入れつつ
日本と西洋、そして時代のねじれや歪みを風刺をきかせて表現している。
 遠近法、消失点という油絵で習った枠をはずしパースを日本流に変形
盲目的にやってみようと意識して再構成し雲や人物の遠近を
昔の人のようにやってみよう!と追体験し自己再現を試みる。
素読」といって訳もわからず体に浸み込ませ受け皿「型」を作る
日本の国土にのっている方法論で現代を見てみよう。
あらゆる人が取捨選択し見たいように見る
鑑賞者によって時系列も鑑賞方法も決められる自由度の高い絵を描いた理由。
 
◎第三部
 大好きな動物は?という質問で即興で描いた柴犬の子犬が可愛い。
仙がいの戌画賛、とど画賛をも連想させる。

 好きな日本画家? と聞かれて
「嫌味な上手さ 西洋画的な上手さ」の竹内栖鳳 鏑木清方 前田青邨
(...練馬の図録インタビューによれば「洞窟の頼朝」(1929)前田青邨 
画風は違うが何かを与えてのかも)

 宇宙戦艦ヤマトを熱く語りだしその話はとてつもなく長くなり
ホワイトボードにはヤマトの話で一杯描かれてしまっている。

 78枚中の激選された質問票はさりげなく主催者の作為であり
しかも軽妙に山愚痴氏に本質を突くようになされていた。
 来年12月半ばより、京都の大山崎山荘にて個展の予定とか。
(今はアサヒが所有。エビス好きな山愚痴氏は注文に苦慮する...?)

 最前列の席でダンシングし歌い描く山愚痴氏を間近で拝見拝見。
 駄洒落を言い下ネタを言いやっぱり会田誠氏とコラボするだけある
精錬潔白ではない でも軽妙に人生を切り抜ける技があるのは
卓逸した職人技ともいえる技量を持つ人ゆえの特権である。洒脱である。
 どこか批評的であるが、自分自身も批評されることにかなり
様々な体験をして越えてきて、やっと時代が山愚痴氏と合致してきた。

 ちょうど練馬区立美術館での図録を拝読したところ
なるほど今日話していたことがちょうど上手い具合に取り込まれている。
「山口さん大好きです」と春のトークショーで発言した女子学生のような人には
生の山愚痴氏が登場するだけで、十分素晴らしき機会と思う。

 その場で墨で描く即興画はやはりライブ(生)でないと、
しかも肉眼で見ないとその達筆ぶりは堪能できない。
そういう意味では千円を払ってしかるべき と思われた。
 興業的には400席をすべて埋め尽くすには、時期的に大変厳しい時期を
設定しすぎたと思う。(12月の金曜日最高にクリスマス10日前!)
東京大学出版会の刊行物のみのサイン会であって残念ではあった。が


判じ絵は「偽」と 今年話題の...
(1)「Me と ホップ」ミートホープ
(2)「城い 小指 刀」白い恋人
(3)「赤 吹く」赤福
(4)「切るっ ちょん」吉兆
(5)「栗すぴーっ 栗むっ」クリスピークリーム