金刀比羅宮 書院の美ー応挙・若冲・岸岱ー @東京藝術大学美術館

 ずっと金刀比羅に行きたかった私としては楽しみな企画です。
娘二人と知人二人と合流し、台風襲来にもめげずに15日結集して辿り着きました。
 入って見て驚く構成の見事さです。障壁画をこう再現されるのがとても面白いです。
 襖絵をこう間近で見れて しかも場を想像しながら楽しむ事ができるっていいですね。
ポスターがそれぞれの障壁画からモチーフを切り取って合成しているので、
娘はそのモチーフ探しをクイズのように楽しんでいました。

会場入口に招くのは
◆岸岱「陵王図桜樹太鼓図衝立」
B2の谷文晃と比較しても面白いですが、
雅楽演目では有名だそうで 醜面の下の美青年の話を聞きました。

円山応挙「虎の間」
虎猫に似た虎図ですが、その毛の細かさといい眼力といい
足や体型が可愛らしく猫に見えても、その想像力に感じ入ります。
「七賢の間」では娘は「老人ホーム」と呼んでいましたが(怒)
老人ほど知恵経験を蓄え素晴らしい生きる先だと思います。
もう少し七賢に関する知識があれば、それぞれの特徴が一層楽しめたでしょう。

岸岱の「蝶図」は乱舞というか美の乱舞が凄まじい勢いです。
◆「柳の間」
柳の裏葉まで濃厚な緑の覆われて、水辺を描いている様が面白いです。

伊藤若冲の「花丸図」
花をデザインして描きつくして一点一点若冲の見事な宇宙です。どのような美しい花であっても
花は萎れ葉は虫に食われ枯れて朽ちていく人生の縮図のような花達です。
豪華な盛り時期の華を描くなら 幾らでも方法はありますが若冲の花は妖艶。
襖絵のみは実物でガラス越しに間近で鑑賞できる贅沢さです。
その他は全て複製。大日本印刷キヤノンの力
これからの美術鑑賞はこういった技術と共に
従来叶わなかった夢を実現してくれるのかもしれません。

◆邨田丹陵「富士山図」山端から光が差し込むような感じがする
襖を何枚もつきぬけて越えてくる大地と光 空間を越えた壮大さを感じます。

◆「富士巻狩図」リアルで立体的に日本武士を描いていて
明治ならではでしょうか。背景のない白い空間で巻狩が展開している。
武士を描いているせいか 作風から山口晃氏も彷彿すると友人談。

地下では金刀比羅に巡る奉納額や船が展示されており、
海運安全を願う背景が見えました。
「こんぴらいぬ」も可愛いですね!〆にぴったり。