藤森建築と路上観察展@東京オペラシティーアートギャラリー

 これは絶対行かねばと思いまして。[藤森建築と路上観察展

 仕上げや屋根の工法、道具などを例示して
リアルに見せてくれる面白い導入部です。
 私の父が大工なので木の感触は凄く好きです。
いろんな工具で試してみる この「試してみる」根性が
とても素晴らしいです。あえて自分自身で取り組んでみる姿勢が。
なんだか懐かしいような嬉しい気分になりました。

 壁や屋根の仕上げを色々工夫して楽しんでいます。
銅版を曲げたりひねったり、アコヤ貝の壁、焼杉の板壁
造る過程そのものを楽しんでいる感じです。

 メンテナンスを考えると大変な作品もありますが、
トマソン狙った愛らしい屋根や窓。
椿や松、ニラやタンポポ 屋根が大地と繋がっている
「屋上庭園」の観念をこう表現するのも面白いものです。

 少年の心と夢を持つ大人たちの秘密基地
いつまでたっても、遊び心とこういう願望は持ち続けるべきですが、
実現するまでの持続する力がスゴイと思います。

 焼杉を円形に囲った入口には金箔で縁取られたにじり口から入ると・・・
土塔がにょきにょき モリゾーとキッコロを思い出します。

 展示模型だけで実現していない作品「東京2107」
実現したら怖くもありますが、東京タワーが東京湾の海に飲み込まれて
ポキッと折れているその先の丘陵あたりに土塔や縄文式に建築された
新しい建築のスタイルを提案しています。

 今回の会場で組み立てられた「日本館」 竹を組み縄で編み上げ
ここで路上観察会の鑑賞会が開かれています。
こういう閉じられた空間でみんなでがやがやと語っている声もあって
凄く楽しい試みです。
 路上観察会では、みんなカメラを持って日常何気ない場所に
面白さを見出して写真で切り抜いてみる。
 みんなで飲んだり食べたりしながら、わいわいガヤガヤ
語っているうちにまた新しい発見があったりする。

 今回の展覧会スケッチでは「伊東展ショック 同じ構成」と
悔しがっていますが、今回の藤森ワールドは 招き入れる空間
歩く触感、縄や土の香りがインパクトが大きい展示でしたよ。

 藤森氏の卒業制作では橋を設計していますが、
その自由な設計に萌芽が窺えました。
 
「縄文建設団」も楽しそうじゃないですか。
勿論プロ集団に任せれば仕事も仕上がりも素晴らしいのは当然ですが、
あえて自分自身の手を使ってやり遂げる。
ものづくりの原点のような工程を見せてもらいました。

「高過庵」って秘密基地みたいで良いですね。
風に揺られて揺かごみたいに、昼寝には本当に最高です。
藤森氏と赤瀬川氏、南氏がころがる姿を捉えたアングルがとっても
幸せな一場面に思えました。
 
 確かに友人は「おもしろい」を連発していました。
そうして3時間が過ぎてしまいました。

映画「みんなのいえ」を思い出したそうです。
漫画「20世紀少年」の秘密基地も思い出させる....面白いでしょう?
「ツクル」って楽しいですよね。建築のハレ舞台。

 世の中をつぶさに観察して面白がる路上観察は好きです。
ほんの少し視点をずらすだけなのですが、世の中って面白い事が
たくさんあると思いますから。