MOTコレクション@東京都現代美術館
スケールの大きな現代美術を堪能する空間。
◆スゥ・ドーホーの「リフレクション」
水色ナイロンで見事にエントランスの空中を二分している。
重力もない世界 空間に収まる風?水?わくわくする展示。
◆加藤美佳「カナリア」「seed」
瞳とまつげから熱いメッセージ性、その奥に潜む感情
人形を作ってから写真を撮りそれを元に作品を作り上げるとか。
人形は人間以上にモノを言う。
◆奈良美智「サヨン」「white night」
きめ細かな少女の肌の下にはあらゆる感情が渦巻いているのが見える。
瞳の奥から訴える強さ。
◆*p1*会田誠「戦争画RETURNS たまゆら 美しき旗」
高橋コレクション様様です。
美しき旗に大和のりを用いた自家製絵具を使っているそう。
凛々しく強き少女とはため旗 その向こうの現実。
ガンダム世代ならでは、戦争を知らない分
冷徹に戦争を予感もさせて怖い。
大正期エログロナンセンスが流行っていた
その時期をも予見させるセンシティブな画家。
ふつうの人が否定する思いを露出させる感じ しかし上手い!
◆大竹伸朗「ゴミ男」
全景でインパクトがある音楽とゴミ
ゴミとなって光り輝く人生もある 幸せなゴミ達である。
美の空間にゴミ?でも強く惹かれる、人間が排出した結晶だから。
◆マシュー=バーニー「拘束のドローイング9:ミラーポジション」
笑えるねえ コレ。メッセージ性より単純に笑えた。
それだけで満足した。
屏風に毛皮で出来た着物。海尽くしの茶会。
捕鯨というキーワードで見ても面白いけど、単純に楽しめる作品。
◆岡本太郎「明日の神話」
メキシコのホテルを飾るはずだった原画が修復されて日本に帰国してきた。
さすがMOTスケールのでかい展示で吹きぬけた空間ならではの展示。
ここではみんな携帯の写メを撮っていたけれど、
これは生で見るべきであんな小さな画面で満足してはならぬ!
「芸術は爆発だ」と、こどもの城のオブジェと
青山の岡本太郎美術館のケーキが記憶にある。
20世紀少年にも象徴的に出てくる「太陽の塔」
今回はここに篭城した佐藤さんのインタビューも
収載されているアトムスーツ素晴らしい。
これが美術か何だかわからないが面白い。
氏の「地位も名誉も財産も要らない
僕が欲しいのはマグマのように噴出する情熱だ」
というコメントが凄い。
◆会田誠「スペースウンコ」「スペースナイフ」
彼の小さい頃から好きだったモチーフがコレだとか。
でも宇宙空間に格好よく収まっている。
ナイフの躍動感もウンコのマッタリ漂う感じも良い。
排出する 攻撃する そういう自分の内なる感情を表現できた美術家
そういう身分が幸せだ。
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MOTがまた先駆的な企画をしている。
ITSUMOt携帯からダウンロード
大好きなミュージアムショップ
あれだけの空間なのに美味しい中身!
開催中の図録は当たり前ですが、大竹伸朗グッズや、
会田誠&山口晃のコラボを予見したBT美術手帖のBNも揃う。
しかもあのART iTがずらりと揃っているし。
『DUNE』 vol.31('07/06)
112 松井冬子について/写真:清水尚