ミヤケマイ個展「白粉花 Little Lily-White Lie」@POLA MUSUEM ANNEX

白粉花」 ポーラ ミュージアム アネックス

会期:2013年5月25日(土)− 6月30日(日) 会期中無休
時間:11:00 - 20:00 (入場は19:30 まで)
会場:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階
入場料:無料

ギャラリートーク
日時:6月8日(土)15:00−16:00
場所:ポーラ ミュージアム アネックス
ミヤケマイ(アーティスト) M 
鞍田 崇(哲学者、総合地球環境研究所)
児島 やよい(フリーランス・キュレーター、ライター) K  
幅 允孝(BACH代表、ブックディレクター)H  

3名のゲストを招き、ミヤケ氏の作品、書籍、美術、それぞれの視点から迫る対談形式のトークイベント。
以下はそのメモ(M ミヤケマイ、H 幅允孝、K 児玉やよい)
メモ構成のため不十分な内容であることは予めお詫びする。

M)アクアイグニス 三重県温泉のアートディレクターを任された。10人の友達と一緒に作り上げた。みんな仲間だから、お互いに素材を都合つけたりして協力した。
M)人の記憶に入って、初めて作品は成立する。記憶に残る。忘れられないものを作る。
H)気が付かないもの、掘り起こされるもの、一皮むく、はっとするような記憶のとっかかりを作る。ポジティブなつまずき。「イタコ」死のモティーフ、髑髏や蝉の抜け殻。
M)忘れられてしまうもの、見られないものをどう救うか。
光と影の展示は、鋳物や胡粉、雲英など使う。
日本は「用の美」美と共に生活する。
『天は自ら助くるものを助ける』
これは長崎の三川内(みかわち)焼。青白で硬質な磁器で煎茶道の器が作られた。今は緒にコラボした。焼くと15%くらい小さくなる。
千手観音像の手はiPhoneやコンタクトケースを持っていたり、現代的な手のポーズをしたり。鑑賞者の二つの手を加えて、四十二手となる。自分の手がモデル。
視界を限定することによって見えてくるもの。障子の穴が視界を限定する。3Dホログラムとの組み合わせ。
ハニカムは、立ち位置によって視界を狭める。離れてみると全貌がわかる、時間が経つ、離れてみるというのは人生とも似ている。
白と銀ねず。気が付かないと素通りする場。畳で引き戸がある。掛け軸を見つけてもらう。3.11以来 物事に気が付くだけのいいのが、一歩行動を起こすということの重要性を感じる。
H)白い狂気を浴びたうえで入る。テキストを自分の中に溶かして都合の良いように解釈してとどめておく。時間をおいてアペリティフのように拡張して入る。

H)作品を作るレシピとして、作品を成立させるテクノロジーとして、最新技術と伝統技術との両方がある。
M)どちらも同じ、人の手技。人間がつくった技術。
H)技術がフラットではない、立体化する術は?
M)普遍と特殊、ゲーテの言葉の掛け軸。
たとえるならばリンゴの芯が普遍。そして離れれば離れるほど、内側に近づいていく。
私はふわふわと地球を超えて飛んでいくので、自分を地面に繋ぎとめるために、作品を作っているのかも。
H)「白粉花」と展覧会を名づけたのは?
M)作品を作るときは、まずその土地やハコを見て考える。戦国武将タイプ!相手を見て戦略を考える方。
光と影、白と黒。西洋では白は正義、黒は悪、と考えがちだが、東洋では陰陽道のように球体で混在する。ポーラは化粧品だし「美白の夏」で行こうと。色は光の屈折から生まれ、白は何でも吸収する。「受け入れた途端、白は白でなくなる」
H)この会場では多種多様な白。いろんな階層のグラデーション
M)毒っ気のある白。狂った白。
K)ホワイトキューブから新聞社主催の展覧会は壁に色がついてきた
M)白い空間に挑んできた
言葉を手掛かりにビジュアルをストックしてきた。もともとは文学部で書物が好きで活字中毒だった。色と言葉は共通記号。絵を描いた後に文章は書けるけど、文章を書いた後に絵は全然描けない、どうしてなのかは謎。

K)子供や思春期の視点かな。
M)最初の頃展覧会では毎回、どんなことをどんなコンセプトで、と質問攻めにあった。それで以前から散文詩は書いていたので、しゃべらなきゃいけないなら文字で書こうと。それ以降、質問はぱったり来なくなった。
M)空間に入るときに場の波長をあわせる。足慣らし、「寄付き」的な日本人的な何か が掛け軸となる。

K)日本人感覚の再発見
M)表装の裏打紙をあえて図案化して前に出す。現れないものが大切。

日本の西洋化みたいな胡散臭いものは嫌い。土着のものが好き。見て食べたもの。自分の根(ルーツ)。
M)3.11以降に「喪失」「失う」についてネガティブだが、原爆でもバブルでもクラッシュする国。ベースは壊れて壊してそして接いでいく。座右の書である「花伝書」でも壊して離す。そして大丈夫という安心感から胡散臭くないものが生まれる。
タイの村上春樹とも呼ばれる人気作家プラープダー・ユンと一緒に本を使った。
私のアジア観は、インドは祖父で、中国は父、韓国は兄弟、東南アジアは双子のよう。文化をバイアスとして人間の心理を五色で描く。
H)色に正解はない。人生と同じ。持ち帰る色が真実の色。

産まれて落ちた時、私達は真っ白なまま世に出て来る。そしてこの世を去るときも記憶も消去され、真っ白な骨や灰になって出て行く。その間、炭に近付ければ黒し、朱に交われば赤くなり、青は藍より出でて藍よりも青くなる。色とは光の産む幻想に過ぎない。
ミヤケマイ「白粉花

日本文化の捉え方が非常に松岡正剛氏に似ていると思っていた。ら、長年の交遊があるようで、掛け軸や日本文化について共通する発言が多かった。
http://www.isis.ne.jp/seigowchannel/archives/03report/

ココでないドコか-forget me not-ミヤケマイ作品集VOL.2 (ミヤケマイ作品集 vol. 2)
膜迷路 (マクメイロ)
 ミヤケマイさんの文章力の素晴らしさは「ミヤマケイ=三山桂依」となって様々な物語りも綴り装丁する。

『おやすみなさい。良い夢を』
おやすみなさい。良い夢を。
『色 Colors』三山桂依/プラープダー・ユン共著
色 Colors