ベルギー近代絵画の歩み@損保ジャパン東郷青児美術館

2009年9月12日(土)〜11月29日(日)月曜定休 ただし10月12日、11月23日は開館
損保ジャパン東郷青児美術館(新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル 42階)
開館時間 午前10時から午後6時まで、金曜日は午後8時まで *入場は閉館の30分前まで

 ベルギーは隣国フランスからレアリスムや印象派フォーヴィズムなどフランスの絵画運動を取り入れながらもベルギーらしく熟成させる。
ベルギー王立美術館コレクション
フランスとベルギーの絵画をそれぞれ並べる。静かなピアノソナタのような展覧会。()はno.を付す。
 第1章 バルビゾン派からテルヴェーレン派へ:印象派の起源
カミーユ・コローのバルビゾン派の風景画から導入。ブーランジェ《聖ユベールのミサ》(5)紅葉と秋空。
第2章 ベルギーのレアリスムから印象派
クノップフ《ヴァンデルヘクト嬢の肖像》青い瞳の少女、《モミの木の林》静謐かつ端正な淡色の風景

クールベがフェボアに影響を与える。ロップス《浜辺》北海の色だ。ディグリーフ《二つの積みわら》(20)豊穣の黄金色 ヴェルヘイデン《春の果樹園》春の眩しい空色。
第3章 フランスの印象派と純粋な色彩
ヘイマンス《冬の白樺》(60)バルビゾン派のように外で描くようになる。ヴォーゲルス《黄昏の池》(33)パレットナイフで大胆。ボック《ブルターニュの海岸》(41)前衛美術に取り組んだ女流画家。モンティニー《冬雄下校》(28)リュミリスムのタッチ。アンソールの《キャベツ》(38)赤いテーブルに見事な新緑のキャベツ。色彩が見事。アンソール《バラの花》(37)豪華な色彩の重なり
第4章 ベルギーにおける印象派
1890年の「20人会(Les Vingt)」フィンチ《海岸風景》レイセルペ《散歩》(47)スーラのような点描法を一部に取り込んでいる。
第5章 光と親密さ
バールツン《ゲントの夜》(57)鬱々たる夜景。幻想派にも通じるよう。クラウス《ロンドン テムズ河の実習船》(53)水面の光の反射。
第6章 フォーヴィズム
ベルギーに受容されると色彩も穏やかになるのか。ワウテルス《鏡を見る青衣の婦人》(68)セザンヌを思わせる。白い花が映え鏡に映る複数の表情。エコー《レモン》
(65)
ボナール《逆光の中の裸婦》(62)が ピアノソナタのフィナーレを飾った。
 これはbunkamuraで開催する「ベルギー幻想美術館」とは別の視点での構成。
  1830年にこの地方がベルギー王国として独立して「ベルギー絵画」と呼ばれ、レアリスム、印象主義、新印象主義象徴主義、そして20世紀に入ってからはシュールレアリスムなど、同時代のヨーロッパの様々な美術運動とも連動しながら展開し、クノップフ、アンソール、マグリットデルヴォーといった著名な画家たちを輩出した近代の途、風景、静物や人物 穏やかな面をフランス絵画を比較して紹介。
 今春のベルギーの旅路の風景とベルギー王立美術館鑑賞を思い出した。アンニュイな思いをさせるベルギーの曇り空。ゆえに光を一層愛しむ。