大琳派から日本画へ@山種美術館
宗達・抱一・御舟・観山
良き所蔵を誇る山種美術館
会期毎の目録はないが、名品揃い。
東京国立博物館で出品された作品もあり、
解説にある他館所蔵品との類似もまた楽しいだろう。
明治から昭和にかけて活躍した日本画家達の「たらし込み」
琳派の意匠を継承した屏風など、大変充実していた。
◆大物浦(前田青邨)
義経を乗せた船が大波の海原を越える
船に乗った小さな人物の一人ひとりの表情
鎧の帷子など細やか。
しかし波は大胆な意匠となって船を翻弄する。
◆槇楓図(伝俵屋宗達)
東京国立博物館から再開。場が違うとまた印象も変わる好例。
◆名樹散椿(速水御舟)
しっかりとした金地にどっしりとした椿の樹を描く
豊かに曲がる枝から、見事なまでに描きこんだ
常緑の緑と、五色椿。
◆月梅(酒井抱一)
月に朧に梅の花弁。その花弁の省略した形が
ほんわりと月光を受けているような。
◆月四題(菱田春草)
それぞれ四季の月の表情を見事に捉えてる。
朦朧体
秋の葡萄が見事。葉も葡萄の粒も...
思わず驚きの声を上げてしまった。
◆(本阿弥光甫)
藤、睡蓮、楓
その見事に形式化した美に堂々と自信のある落款。
◆四季花鳥(荒木十畝)
見事に鮮やかな花や樹木など形式化した植物に対し、
眼光鋭い鳥の表情、愛らしくも鋭い瞳。
その描き分ける技も見事な印象。
◆老松白藤(下村観山)
「老松白藤」に妖艶な姿態を思わせる
「老いらくの恋」にも似て妖艶な美を描くのが見事
なまめかしい。左側に蜜蜂が羽立てて居る。
加山又造よりも。
日本画は古きを学びて、新しき世界を拓いてく。
山種美術館ならではの充実した所蔵品と共に
その「琳派の系譜」への導きの視点が興味深い。