山本麻友香展@ギャラリー椿

 今月のart_icle特集で取り上げられたので、ご存知の方も多いと思う。

 初めて入る画廊ギャラリー椿、初めて会う作家
でもどこかで見た男の子にも思える。
 ギャラリー椿が、1992年からずっと個展を開いていたのだ。
 初期の作品が力強い線と勢いを持っていたのに、やがて
ご自身がお母さんになっていくことで、作風が変化していくのが
とても興味深いと思った。
 2002年は控えめな危うい存在感を持つ少女を描いていたのに、
今では、動物達と少年が同居した不思議な存在へ変化している。
「かわいい」といえば可愛いだろう。neoteny
 韓国や台北で個展を開き、アジアでも人気だという。

 出産し育児しながら描き続けるのは、大変な努力が要ることだと思う。
一作品を生み出すのが、一人の生命を産み出すのに似ているとしたら
その過程も作品そのものも愛おしいのだろう。
 実際はお嬢さんがいるお母さんだとか。
 自分の分身でありながら、どこにもいない誰かを描く。
 
 ふわふわ暖かく愛らしい毛皮で覆われた姿は、誰かに守られているような。
決して現実にはありえない姿もありつつ。
熊やペンギンの着ぐるみの姿は、何か似ている...
 着ぐるみするキティちゃんや、
センダックの「かいじゅうたちのいるところ
酒井駒子の「よるくま」...絵本に登場する子ども
 愛らしい彼は、こちらを見ていない。
そういう意味では、奈良美智の意地悪な可愛らしさとも違っていて、
静かな中に、いろんな感情や思いを秘めているようにも感じる。
表情に丁寧な色を重ねてあるのも、とっても気になる。
 ふと気になってしまう絵 という、戦略にひっかかってしまう。